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マゾヒズム文学の世界

谷崎潤一郎・沼正三を中心にマゾヒズム文学の世界を紹介します。

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『悪魔』『続悪魔』の二次創作

谷崎潤一郎の『悪魔』『続悪魔』の二次創作です。


ある日、佐伯が遅く目覚めたころ、鈴木が二階の六畳に上がってきた。
「佐伯さん、こんにちは。ごきげんよう。」
鈴木は馬鹿に丁寧に、両手と額をついて挨拶をした。
佐伯は無視をしている。
「佐伯さん、私はこの家の書生でございます。何か入用がありましたら、なんなりと、申し付けてくださいね。」
佐伯は
「何を企んでいるのか」
と思いながら、とにかく相手にしたくない一心で、
「何も用はありません。」
とだけ言って、本に目を落とした。
「それでは、煙草盆と屑篭を掃除してすぐに戻って参りますので、そのときにどうかお申し付けください。」
というと、鈴木は机の上にあった煙草盆と部屋の隅にあった屑篭を抱えて下に下りていってしまった。
五分もすると、鈴木はまた煙草盆と屑篭を抱えて戻ってきた。机の上に戻された煙草盆は、佐伯が見たことないくらい丁寧に磨かれていた。
佐伯は少し驚いて、
「こんなことを君にしてもらう必要はない。僕は君に何も用はないんだから、もう下に下りていってくれないか。」
というと、鈴木はしつこく懇願するように言った。
「私は今は特にすることがありませんから、御用ができたときのために、しばらくここに侍っています。どうかお気にになさらずに放っておいて、何か用事ができたら声をかけてください。」
「そんな必要はない。君に頼むようなことは当面ないし、もし頼みごとがあれば下に下りていって頼むんだから、君はもう下りてくれたまえ。」
佐伯は少し声を荒げた。
「分りました。しかし、本当に、私はあなたに用を言いつけてもらわなくちゃいけない人間なんで、どうぞ、遠慮せんでくださいね。三時にもう一度御用を聞きに伺いますので。」
こう言って、また両手と額をつける深いお辞儀をして鈴木はようやく下に下りていった。


佐伯は果たして鈴木が三時に本当に上ってくるのか気になって、来る前に出かけてしまおうかと考えていたが、三時の少し前になって、照子が上がってきた。
「兄さん、さっき鈴木がきたでしょう。」
「ああ、きたよ。あれはやっぱり君がやらせていたんだね。」
「きちんと、床に額をつけて挨拶していた?」
「ああ、あれには驚いたよ。照ちゃん、何を企んでいるんだい?」
「ふふ、鈴木に、兄さんの召使をやらせるのよ。」
照子は寝そべっていた佐伯のすぐ脇に、腰を下ろした。足を崩して座るので、佐伯の左耳の辺りを照子の足袋がかすめる。
佐伯は億劫そうに体を起こした。照子の潤った唇が目に入って見惚れそうになったが、気づかれないようにちょっとづつ、ちらちらと盗み見た。
「あの調子でまとわりつかれたんじゃたまらないね。僕はご免こうむりたいね。」
「だめよ、これは鈴木の躾のためなんだから。まあいいわ、あいつからちゃあんとお願いさせるわ。三時に来るって言ってたでしょ。」
「しかし、君がいたんじゃ、あいつも決まりが悪くてこれないんじゃないか。」
「だいじょうぶよ。三時になったらあいつは、きっとそこの床に額をついてるんだから。」
こう言って照子は佐伯の両肩に両手を乗せ、唇を重ねた。
佐伯は夢中で照子の唇を吸い、口の中を舐め回した。照子の暖かくて柔らかな唾液の中で泳いでいるような感覚だった。佐伯は全てを忘れて照子の肉体に溺れていた。一人でいる時間も、学校に行っている時間も、照子の肉体のことばかり考えていた。
どれくらいの間、接吻をしていたのだろうか、いつのまにか照子は佐伯の下腹部に腰を乗せていた。
照子のほうから、静かにゆっくりと、舌を絡めたまま唇を離し、最後に互いの舌の先をちょん、とぶつけあった。
佐伯は頭が真っ白だった。
次第に意識がはっきりしてきて、佐伯は、梯子段を上りきった所に、床に額をついて小さく平伏している鈴木の姿に気がついた。
「あっ」
と佐伯は情けない声を上げ、頼るように照子の顔を見た。照子はまだ佐伯の下腹部に乗っていた。
照子はとっさに袖口で口の周りを拭おうとする佐伯の手首を押さえて、再び顔を佐伯の顔に近づけ、佐伯の唇の周りについた自分の唾液を舐め取り、ギョロっと佐伯の目を見つめたまま、ペロリと自分の唇の周りについた佐伯の唾液を舐め取った。
「三時にはああして待っていたのよ。言ったとおりでしょう。ちゃあんと躾けてあるんだから。」
照子はささやくようにこう言って軽く微笑んだかと思うと、なおも佐伯の目を見つめたまま、いきなり声色を変えて言った。
「鈴木さん、さっき私が言いつけたこと、ここでもう一度兄さんにお願いしてごらんなさい。」
鈴木は平伏したまま、佐伯が聞いたこともないようなハキハキした声で答えた。
「はい、お嬢さん。私は主人に対する奉仕の仕方を教えていただくため、佐伯さんの身の回りのお世話をさせていただきたいのです。そのために、日に三度、こうして二階に御用を伺いに参ります。それから、毎日、佐伯さんの汚れ物を洗濯し、履物を磨きます。それから、佐伯さんの煙草盆は常にきれいにします。佐伯さんの敷島は、必ず切れる前に買っておきます。」
「それから?」
「はい、御用を伺いに参ったときは、最低でも三つは用事を言いつけてもらうようにします。」
「それで、今日は兄さんにいくつ用事を言いつけてもらったのかしら。」
「まだ、ひとつも…」
「だめねぇ。今日は私がここで助け舟を出してあげるんだから、一生懸命兄さんにお願いするのよ。」
「はい、お嬢さん、ありがとうございます。」
佐伯は、何か面白い芝居でも見せられているかのように、夢中で照子と鈴木のやり取りを聞いていた。照子は依然佐伯の下腹部に乗っかったままだ。鈴木は床に両手をつき、自分がしゃべるときだけ二寸ほど額を浮かせて声を張り上げ、照子が話しているときはまたしっかりと額を床につける。これが照子のいう躾なのだとすると、なるほどたいしたもんだと、佐伯は自分でも驚くほど呑気に感心していた。
さてと、自分が巻き込まれるのはどうやって回避するのか、頭を落ち着かせて考えようと、佐伯はマッチを擦って敷島に火をつけた。
「鈴木さん、兄さんが煙草に火をつけてしまったけど、兄さんの煙草盆はきれいになっているのかしら。」
照子の言葉に、鈴木はあわてて体を起こした。
さっき鈴木がきれいに掃除した煙草盆には、すでに七、八本の吸殻と灰が入っていたが、まだまだ使うには差し支えなかった。
鈴木は泣きそうになりながら狂言師のように辺りを見回し、とっさに屑篭を引き寄せてそれに吸殻を捨てようとした。
佐伯も照子も鈴木のあわてぶりにおもわず「ふっ」と失笑してしまったが、照子はなおも意地悪く鈴木を嬲った。
「だめよ。火をつけてから慌てて掃除するなんて、無礼にもほどがあるわ。鈴木さん、あなたは煙草盆の掃除を忘れたんだから、今日はあなたが兄さんの煙草盆の代わりになりなさいな。」
鈴木の動きがピタリと止まった。何か逡巡しているのが見て取れた。
佐伯もさすがにあわてて、
「まあ、煙草盆はまだ十分に使えるんだから、それをこっちによこしてください。」
と、取り繕うように言って、鈴木のほうへ手を伸ばした。
照子は、おもむろに顔を天井に向けるようにした。
佐伯も鈴木も、照子の美しい頤の曲線と、真っ白い首筋を見上げた。
照子は虚空を見つめ、「ふう」と小さく息をしたかとおもうと独り言でもつぶやくように言った。
「鈴木さん、あなた、兄さんの前で私に恥をかかせるおつもり?」
この言葉を聴くと、覚悟を決めたのか、鈴木はスイッチが入った機械のように佐伯の下に擦り寄ってきて平伏し、
「佐伯さん、どうか、今日は私の口を煙草盆の変わりに使ってください」
といったかとおもうと、阿呆のように口を大きく開け、舌を出して、首を伸ばして佐伯の手元に顔を近づけた。
佐伯の敷島からは、今にも灰が落ちそうになっていた。
佐伯がどうしていいかわからず、固まっていると、照子が佐伯の指に挟んである敷島をゆっくりと抜き取り、ポンと鈴木の口の中に灰を落とした。さらに照子は敷島を咥えて少し吸い、一瞬真っ赤になった火を鈴木の舌でもみ消し、吸殻を鈴木の口の中に投げ入れた。
鈴木は舌に火を押し付けられた瞬間も、きゅっとこぶしを握っただけで我慢し、ピクリともしなかった。吸殻を投げ入れられるとゆっくりと舌を戻し、口を閉じた。
照子が指でポンと軽く鈴木の頭を叩くと、鈴木は少し後ろに下がってまた両手と額をつける挨拶をし、吸殻と灰をほおばったまま、煙草盆と屑篭を抱えて下へ下りていった。
五分もすれば、きれいに掃除した煙草盆と屑篭を抱えて戻ってくるのだろう。
佐伯と照子の二人きりになった六畳には静寂が訪れた。
佐伯は照子の顔を見ないようにした。自分がいかに興奮しているかは、ずうっと自分の下腹部に腰を下ろしている照子には手に取るようにわかっているだろう。犬に芸を仕込むかのように鈴木を操る照子は、いままでとは比べ物にならないくらい美しく、偉大なものに見えた。佐伯は照子と鈴木が目の前で見せた奇怪な遊びに酔いしれており、いまさらこれを咎めたり、自分だけはこの遊びから抜け出したいなどということは、あまりにも白々しく、あまりにも卑怯に思えた。
佐伯は目を伏せたまま言った。
「照ちゃん、僕は以前、君の事を『悪魔』だと言ったけれども、そのときにはまだ、君の本当の恐ろしさをこれっぽちもわかっていなかったんだねぇ。」
照子は天井を向いていたが、佐伯の言葉に満足したように少し微笑んだ。


その日、佐伯と照子は夜遅くまでふざけあっていた。佐伯はその後敷島を十六本吸ったが、一度も煙草盆を使わず、全て鈴木の口を使っった。途中で敷島の持ち合わせが切れてしまったときは、鈴木に買いに走らせた。
佐伯ははじめのうちは口の中に灰を落とすのも舌で火をもみ消すのもためらっていたが、次第に慣れ、五本目を吸うころにはまったくいつもの煙草盆を使うように鈴木の口を使っていた。
鈴木はその様子を見て、「ああ、俺は本当に佐伯さんの煙草盆になったんだ」と思い、舌が焼け爛れるのも苦味が咽の奥まで染み込むのも忘れて喜び、嬉々として梯子段を往復した。
その後も鈴木はたびたび佐伯にねだって煙草盆の代わりを務め、しまいには敷島の匂いをかいだり、人が敷島を吸っているのを見るだけでerectしてしまう習性がついてしまった。

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タグ : マゾヒズム 谷崎潤一郎 沼正三 家畜人ヤプー ある夢想家の手帖から 寝取られ 三者関係 白人崇拝 美男美女崇拝 悪魔

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