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マゾヒズム文学の世界

谷崎潤一郎・沼正三を中心にマゾヒズム文学の世界を紹介します。

私のマゾ遍歴

このあたりで、私のマゾ遍歴を披露させていただきます。

・最初の記憶
まず、いつからマゾなのかというと、生まれたときからですね。
物心ついたときにはすでにマゾ妄想をしていた記憶があります。
一番古い記憶は、特撮ヒーローものの子供番組を見ていて、ヒーローが悪役の美女にボコボコにやられるシーンを見て昂奮したというものです。
どういうわけか、戦隊もの、ロボット刑事ものをとわず、こういう特撮ヒーロー作品には必ずといっていいほど悪役に美女がいて、これがまためちゃめちゃ強い。
一番記憶に残っているのは『機動刑事ジバン』という作品にでてきた「クイーンコスモ」というキャラクターですね。
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「地球に女だけの帝国を作る」という野望をもっていて、悪の軍団に属せずむしろそれを利用して行動していました。
とにかく理不尽なほどに異次元の強さで、ジバンとの対決は、戦っているというより嬲っているという感じで、魔法を使ってエレガントに、余裕しゃくしゃくに、楽しそうに、ジバンをボコボコにしていました。
ジバンは強化改造を繰り返しても、クイーンコスモには最後までほとんど歯が立ちませんでした。
私は今でも、「エレガントに、余裕しゃくしゃくに、楽しそうに」攻めるタイプのドミナに強烈に憧れます。
これはもしかしたらクイーンコスモの影響かもしれません。

・マザー・コンプレックス
私のマゾヒズムに、私のマザー・コンプレックスが与えた影響は確実に大きいです。
直接母に陵辱されることを妄想したことはありませんが、心のドミナには常に母の俤を感じます。
幼児期、母が弟を可愛がっているのを見ると、いつもなんとなく切なくなりました。
これが私の最初の「寝取られ」体験と言っていいでしょう。
私の異常な甘えん坊ぶりを理解していた母は、そんな私を見て、よく
「ちょっと待っててね」
と言ってくれたんです。
このときの甘い甘い快感が、私の最初の「放置プレイ」体験かもしれません。
弟は母似で美しく、私は父似で醜いので、姉などは露骨に私を嫌い、弟ばかりをかわいがりましたが、母は平等にかわいがってくれました。
ただいつもそれが、弟に対する「本物の愛情」と違い、「同情」や親としての「義務感」に近いものではないかという強迫観念があり、母の歓心を繋ぎとめようと、母の言うことをよく守り、手伝いもよくしました。
そうして母が
「まぁ、お兄ちゃんはいい子ね。」
といってくれるのが、うれしくて仕方なかったのです。
成長していろいろな性的刺激を知った今でも、この言葉に勝る快感はいまだに知りません。

・オナニー
私の性の歴史、というより私の半生そのものが、オナニーの歴史といっていいです。
上記で「物心ついたときにはすでにマゾ妄想をしていた」と書きましたが、当然そのときにはオナニーをしていました。
三歳くらいのことですので、もちろん精通はしていませんが、絶頂はちゃんとあります。
オナニーのやり方はどんどん進化していきましたが、最大の革命は肛門の開発です。
これは精通など問題にならないくらいの快楽の大革命でした。
私の感覚としては、「放尿:肛門を使わないオナニー:肛門を使ったオナニー」の快楽比は、「1:10:10000」くらいです。
まだ肛門を使ったオナニーの快楽を知らないという人、ぜひ今日からでも始めてくみてださい。

・文豪との出会いと白人崇拝
谷崎潤一郎と出会ったのは中学生のとき、沼正三と出会ったのは高校生のときです。
『少年』を最初に読んだときは手の汗で文庫本がぐしゃぐしゃになったのをおぼえています。
『家畜人ヤプー』を最初に読んだときは、昂奮するとともに、抵抗感もかなり強かったですね。
しかし、妄想は次第に白人崇拝へと傾斜していき、高校、大学時代、私の青春はこれ一色に染まりました。
白人女性の写真が掲載されている雑誌や白人女性を女神として描いた絵画の画集を集めまくり、白い女神たちに家畜として奉仕する妄想で昼夜を問わず猿のように自慰にふけりました。
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あまたの同胞とともに女神に虫けらのように使い捨てにされる「ファンタジー型」の妄想もいいですが、例えば「白人モデルがこんなに日本の雑誌に掲載されているのはなぜか?」などと考える「微視型」でも、めくるめくような昂奮を覚えました。
一番好きだったのは「世界が白人に支配される世界が実現するには、世界史にどんな条件がそろえばよかったのか?」と考えることでしたね。

・トリオリズム
トリオリズムに本格的にはまったのはネット小説の影響が大きいです。
「2ちゃんねる」に投稿されていた『元彼女の奴隷に…』『妻が浮気相手に…』『ブサ彦物語』といった小説に魅了され、禁断の快楽の扉を一気に開けてしまいました。
最初に触れたときには「いや、それはない!それは邪道!」と思ったものですが、そういう心理的抵抗が強いほど、はまってしまったときの快楽も強いものがあります。
トリオリズムに関しては、普通の恋愛とSEXを経験し、それが上手くいかなかったことも、もしかしたら影響しているかもしれません。

・実践経験
実践経験は、ゼロです。
個人的な体験としても、マゾ的なものは残念ながらありません。
SMクラブやマゾ系の風俗にもいったことはありません。
正直怖い、とういのはあります。
今行くと、なんだか幻滅を味わうような気がして…自然に行きたくなったら行こうかな、と思っています。
(貧乏でお金がない、というのも大きいですが。)

・ブログ開始
当ブログの最初の記事の日付は2007年7月22日になっていますね。
私という人間の構成要素のこれほど多くを占めているマゾヒズムを、なんとか同士の人達に表現したいという思いが昔からありました。
しかし、漫画やイラストや小説が書けたらいいのですが、書けない。
一方、マゾヒズム文学、特に谷崎潤一郎については、私以上にその本質を理解している人はいないのではないかという位の自負があり、そしてそれは、マゾヒストであれば、多くの人に理解されるのではないかという思いがありました。
そこで、マゾヒズム文学を扱ったウェブサイトを作ろう、と着想したのは、ブログを実際に立ち上げるかなり前のことです。
ブログという簡単な手段が普及したことにより、ようやくそれが実現しました。
ブログ開設直後、真っ先にコメントを下さったのが「女性上位時代」の馬仙人でした。
このときのうれしさは一生忘れないと思います。
最初に言葉を交わした同士が、ずっと大好きだったサイトの尊敬する管理人で、マゾヒズム文学研究の偉大な先輩である馬仙人だったことは、本当に幸せに思います。
…にもかかわらず、私はその後、読者の方の期待に背き、多忙にかまけて長期間ブログを放置してしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。
このたび、ある程度自由な時間ができましたので、再開に至りました。
妄想のほうも、絶好調に広がっていますので、いろいろな記事をどんどん書いていこうと思います。
今、「本当にマゾヒストでよかった」と思っています。
いつも読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。
これからも、ご指導ご鞭撻、よろしくお願いいたします。

タグ : マゾヒズム 谷崎潤一郎 沼正三 家畜人ヤプー ある夢想家の手帖から 寝取られ 三者関係 白人崇拝 美男美女崇拝

『ある夢想家の手帖から』全章ミニレビュー 第2巻「家畜への変身」

沼正三の長大なエッセイ集『ある夢想家の手帖から』につき、全章をミニレビューをつけて紹介していきます。
入手できた挿画、関連する画像を合わせて掲載します。


第三二章
女主人の鞭(『月夜鴉』)
以降三章は「むち」について。
川口松太郎『月夜からす』を紹介。三味線の女師匠が弟子の男を鞭撻して奴隷化します。

第三三章
むちのいろいろ
様々な種類のむちを解説します。
「鞭」は皮革などの動物性、「笞」は木の枝などの植物性のものをいう…などなど。

第三四章
笞刑と鞭刑
アントン・チェーホフの『サガレン島』(『サハリン島』)からの引用で、笞刑と比較して鞭刑がいかに苛烈な刑罰であるかを解説します。
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アルブレヒト・デューラー『オルフェウスの最期』。これは「杖刑」。

第三五章
微視的マゾヒズム
マゾヒストが次第に強い刺激を求めていくにつれて、弱い刺激には鈍感になるかというと、必ずしもそうではなく、「レファインされた」(洗練された)マゾヒストは、弱い刺激にも敏感になり、夢想の種を見出すようになる、とします。
この現象を微視的マイクロマゾヒズムと名づけています。

第三六章
手を踏まれて
微視的マイクロマゾヒズムの一例として、沼自身がある日満員電車で、美女の靴に手を踏まれた体験を紹介。
当時の満員電車では乗客は座席の上にも立ったそうで、沼は立つのが遅れたために手を踏まれてしまったんですね。
田園調布駅から渋谷駅までその状況を楽しんだ様子が克明に描かれています。
沼はこう考えるんですね。
「美女は友人と話をしている。卑賤な自分の手の痛みごときのために、その会話を一瞬でも邪魔しては申し訳ない。」
さらにはこう妄想を膨らませます。
「彼女は自分の手を踏んでいることを知っているが、彼女にとっては自分の体などは床や座席と同じ値打ちしかないのだから、足をどける必要を感じないからそのまま踏んでいるんだ。」
この美女は永く沼の「心のドミナ」となったそうです。

本章は、「精神的陵辱が正当マゾヒズムの真髄であるならば、なぜマゾヒストは肉体的苦痛を求めるのか」という問題を考える上でも非常に重要ですね。
沼にとっては「肉体的な苦痛を与えられる」というのは、「上位者から、自己の精神・肉体・尊厳・生命を軽視・無視される」という精神的陵辱の一種なんですね。
ただ、「肉体的な苦痛を与えられる」というのが他の精神的陵辱と比べて特別なのは、与えられた肉体的な刺激が精神的な快楽に強く作用し、陵辱に実感を伴う、という付加価値(おまけ)がついているということなんですね。

第三七章
鼠入りハイヒール
ハイヒールのかかとの部分に透明ケースを設けてハツカネズミを入れるというファッションがある、というニュースから、そのハツカネズミになった妄想を披露します。
さらに、人間のために生(生命、生活、一生)を利用される家畜という存在にたいする並々ならぬ思いを吐露しています。

第三八章
漫画の効用
日本には、マゾヒズムをモチーフにした美術作品が少ないが、その代わりに、漫画にはマゾ的に昂奮できる作品がたくさんあるとして、作品を紹介しています。
さすがにこれは、現代オタク文化を知る者としては驚くようなものはあるまいと思いきや、なかなかどうしてすごい内容の作品が並んでいます。

第三九章
マゾヒストの詩
以降六章は汚物愛好について。
ドイツのマゾヒストがドミナに贈った詩を紹介。

第四〇章
人間ポット
飲尿について。
ドミナから直接こぼさずに飲尿するのは、物理的にそんなにたやすいものではない、としています。

第四一章
人間トイレ
食糞について。
飲尿と比較して食糞は心理的抵抗は極めて大きい。
一方、物理的には飲尿ほど困難ではない、としています。
さらに、白人にこそ人間便器使用者としての資格があることを延々と解説します。
沼正三の場合、心理的禁圧が強い陵辱であっても、白人崇拝を持ち出すとあっさりと禁圧を乗り越え、むしろ病的なまでに強烈な願望になります。人間ビデ願望や、男性器への奉仕についても同様です。上位者が同胞である場合と、白人である場合のダブルスタンダードができてしまっています。
「同胞からは受け入れられないけれど、白人に対してはは強烈に欲してしまう陵辱」。これが沼正三のマゾヒズムの特異性です。

第四二章
女神を求めて
マゾヒストの手紙シリーズ第三弾。
嗜虐女性サディスティンに後天的に馴致されたマゾヒストであることを指摘。
捕虜時代の同様の体験に触れています。
付記でラルフ・ウォーレス『服従学校』を紹介。
妻や母の依頼で男性を奴隷に馴致する施設。財産目的で結婚した妻の依頼で収容された男が、妻が愛人と旅行を楽しんでいる間に徹底調教を受けます。

第四三章
対象神格化の心理
汚物愛好が対象神格化に結びつきやすいことを解説。
沢井和雄『奈落の欲情』を紹介。
劇団の花形女優:ゆかりの奴隷となった道具係:サムの物語。徒弟→主従→奴隷→飼犬→道具にまで堕ちたサムは
ついには人間トイレとなる。サムの支配者は、ゆかり自身からゆかりの尻へ、さらにゆかりの排泄物へと代わっていく。それにつれて、ゆかり自身はサムにとって遠い神の世界の住人となってしまいます。
さらに、マゾヒストのファンが映画女優に贈ったファンレターを紹介。
足の裏にキスすることは、人間が神に、畜生が人間にする行為であって、畜生が神に対する場合は、神の排泄物を仲介物として、それを尊ぶしかない、とあります。
また、幼児が母を慕うように女性を崇拝する侍童願望パジズムが、汚物愛好と対象神格化に結びつきやすいことを解説します。

第四四章
ピカチズムと舌の役割
汚物愛好の中で、受動的に汚物を受ける人間トイレに対し、能動的に汚物を舐める願望をピカチズムとします。
代表的なピカチズムとしてトイレ紙代用奉仕、クンニリングスを挙げます。
付記では米国留学中に、郷里に婚約者のいる年下の白人女子学生に舌奉仕をした日本人学生の「自慢話」を紹介。

第四五章
犬になりたや
犬への変身願望について。
付記では英国で狐狩りを見物した体験を披露し、騎馬の男女に魅せられて乗られる馬にも、狩られる狐にもなりたいと思ったが、それ以上にフォックス・ハウンドになりたかった、としています。
以下十章延々と「犬」について。
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狐狩りの様子。あなたは馬派?犬派?それとも狐派?

第四六章
夫を飼う決心
オーストリアでの症例を紹介。
戦争で眠っていた願望が発露した軍人が、妻に対して手紙で、帰還時には犬として扱うよう懇願します。

第四七章
犬のくせに……(『犬頭の男』)
ジャン・デュトゥール『犬頭の男』を紹介。
生まれつき犬の頭を持った男の物語。人に嫌われ、社会的にも差別されている彼が、自分を玩弄する同僚の美女に恋してしまいますが、徹底的に本物の犬として扱われます。

第四八章
女司令官の靴を舐めて…
マゾッホ『前哨に立つ女』から一場面を紹介。
ロシアとトルコの戦争中、トルコのパシャが、ロシア軍の女司令官:ソルチコフ伯爵夫人の捕虜になります。パシャは宴会の余興として貴婦人たちの前で犬吠えの真似をさせられます。
ここから先は沼の二次創作。
伯爵夫人はパシャに客人の靴を舐めるよう命じますが、パシャがためらったため、鞭を使います。これでパシャは完全に屈服し、伯爵夫人の長靴ブーツを舌で掃除する…などなど。
付記では、奴隷制廃止期の米国南部における白人たちのパーティーの一場面を紹介。
客人の青年が生クリーム菓子を落として令嬢の靴先を汚したので、青年がハンカチで拭おうとしますが、令嬢がそれを制して黒人少年を差し招いて靴先を指差し、クリームを舐め取らせつつ、青年とは会話を再開します。

第四九章
私は犬です
マゾヒストの手紙シリーズ第四弾。
一九世紀末の犬願望者。

第五〇章
犬と猫
なぜマゾヒストが家畜の中でも特に犬になりたがるのかを猫との比較で解説。
猫が存在するだけで人に愛され、自由を謳歌しているのに高貴な動物であるのに対し、犬は人に従順で忠実で、さまざまな人間の用途に供されている、卑しい家畜であるため、とします。

第五一章
犬好きの女と猫好きの男
前章にいう犬と猫の性質から、マゾヒストには猫好きが多く、マゾヒストにとって理想的な女性は、犬好きが多い、とします。

第五二章
夫を飼う(『犬の変奏曲』)
木場草介『犬の変奏曲ヴァリエーション』という小説を紹介。
猫好きの妻が犬のような夫を嫌い、夫が発狂する話。
付記では白野勝利の『現代の魔女』を紹介。
詳細はこちら。
HNの由来と作家:白野勝利氏

第五三章
ハイネの妻
十八歳年下の妻に犬として拝跪したドイツの詩人ハイネのマゾヒスムについて。
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ハイネと妻マチルド

第五四章
マゾッホと犬と猫
マゾッホも、猫を愛し、犬に対しては同類感を抱いていたことを解説します。

第五五章
マゾッホをめぐる女性たち
マゾッホの性的遍歴を紹介。
・アンナ・フォン・コトヴィッツ夫人:最初のドミナ。犬のように奉仕させたあげく、マゾッホを捨てます。
・ファニー・ピストル夫人:マゾッホは彼女の奴隷としてフィレンツェに随行しました。奴隷契約も結んでいます。
・オーロラ・リューメイン:『毛皮を着たヴェヌス』のヒロイン・ワンダを名乗ったマゾッホの夢想の女性。十年間マゾッホは彼女に奴隷として仕えます。
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マゾッホとファニー・ピストル夫人

第五六章
人血搾取
唐のある町で染物に使う人血を搾取するために人が飼われる、という説話を紹介。

第五七章
女体沐浴
野村胡堂『揮発した踊り子』という小説を紹介。
体から分泌するものは、汗でも尿でもよい匂いがする女性を愛した男が、彼女の入った浴槽に酒を注いで汗と混和させて愛飲するという話。

第五八章
浴槽から乾杯!(『仇討三鞭風呂』)
獅子文六『仇討あだうち三鞭シャンパン風呂』という小説を紹介。
フランス人少女が、浴槽に満たしたシャンパンを男たちに飲ませるが、実は彼女は浴槽の中で放尿していた、という話。

第五九章
ポッペアのミルク風呂で
ローマ皇帝ネロの妃:ポッペア・サビナがミルク風呂に入っていたという史実から着想した妄想。
沼はポッペアの陰毛の手入れをする奴隷なのだが、哀れ、ポッペアの残酷な好奇心の犠牲になり、些細な咎から舌を切断されます。
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映画『暴君ネロ』よりクローデット・コルベール扮するポッペア

第六〇章
矮民王義
隋の煬帝に仕えた侏儒ドウオーフ(小人)の宦官:王義に着目。
史実では煬帝の荒淫を諌めた王義ですが、沼の妄想内では、後宮で煬帝と寵妃に性的奉仕をさせられています…。
付記では『家畜人ヤプー』の「女陰畜」につながる顔面女陰妄想に言及。
ドイツで上流貴族の青年に対して口淫奉仕を妄想したところ、「既に人間便器妄想で汚されている私の口部」では、青年に申し訳ないと考えたことから着想したそうです。
白人貴族に対する沼の尋常でない心的傾斜が垣間見えるくだりです。
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ルネ・マルグリット『レイプ』

第六一章
侏儒と道化
王侯や寵妃の玩弄物とされた侏儒と道化について。
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ジャン=マルク・ナティエ『マドモアゼル・ド・クレルモンのトワレ』

第六二章
醜い黒犬から
マゾヒストの手紙シリーズ第五弾。
アルジェリア人の資産家が、フランス人の秘書官夫人の飼い犬になることを希望する内容。
被支配民族の支配民族に対するマゾヒズム(=有色人種の白人崇拝)が衝撃的な形で現れています。

私の暗色の皮膚は、私たちアルジェリー人が貧富を問わず、その皮膚ゆえに白き皮膚の人々に隷属すべきことを教えていないでしょうか。
(中略)
私はアルジェリー人の本来の使命は支配者なる白き皮膚の人々に仕えることにあるのだと悟り、(後略)


書かれたのは二十世紀初頭。フランス人入植者のサディズムともいうべき苛烈で残忍な支配に対して、密かに敵愾心を抱くことすらできずに、心の底からフランス人に隷属してしまうマゾヒストが出現したことに、戦慄してしまいます。
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フランス植民地時代のアルジェリア

第六三章
人間は動物である
前章の続き。
フランス人の秘書官夫人に手紙を送ったアルジェリア人は、自らを「飼養」することを条件に、全財産を夫人に贈与してしまいます。
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オーブリー・ビアズリー『モーパン嬢』(テオフィル・ゴーティエ)の挿絵

第六四章
愛情の一方通行
バルザックの『モデスト・ミニヨン』を紹介。
地方貴族の令嬢モデストと三人の求愛者の物語ですが、もう一人、モデストに恋する脇役・ビュッチャに着目。
せむしで侏儒で私生児のビュッチャの恋は、「三人の求愛者」のそれと違い、「虫けらが星を慕うような片恋」なのです。
付記で「愛情の一方通行」について解説。
田沼醜男という作家が名づけた概念だそうで、自らに愛を捧げた男に対する、女の無関心、冷笑、裏切、忘却等を意味します。
これは谷崎潤一郎が大大大好きなパターンですね。
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『モデスト・ミニヨン』の挿絵

第六五章
愛国心か情欲か(『デュポン博士とその妻』)
長谷川如是閑にょぜかんの『デュポン博士とその妻』という小説を紹介。
顔も体も「滅茶苦茶にこわされた」畸形のフランス人デュポン博士。かれの畸形は、アルジェリアの先住民・ベルベル人である夫人により、フランスへの復讐として加えられた…という話。

第六六章
日の丸ズロース
終戦直後、台湾では日本による支配への復讐として日の丸をズロース(女性のパンツ)とすることが流行したという伝聞。
付記では「地位逆転」のマゾ的効果に言及。
さらには「天皇制の冒涜」に言及し、白野勝利『ジャクリーヌの厩』を紹介。
詳細はこちら。
HNの由来と作家:白野勝利氏

第六七章
人間テーブル
従軍時代に兵営で古参兵の人間テーブルとなった経験を披露。
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オーブリー・ビアズリー『蔵書票エクスリブリス

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「スクビズム」の五類型と「変身願望」の五類型


谷崎潤一郎のスクビズム(1)―『少年』論~スクビズムの楽園

では、沼正三『ある夢想家の手帖から』の第一三三章「スクビズム」で紹介されていた「スクビズム」の五類型をご紹介しました。

谷崎潤一郎のスクビズム(3)―『捨てられる迄』論~堕ちていく快楽、委ねる快楽

では、『手帖』の第二一章「召使い願望と侍童願望」で紹介されていた「変身願望」の五類型をご紹介しました。

ここで、改めてまとめておきたいと思います。

「スクビズム」とは、「対象女性を上位に、自らを下位に置こうと志向する願望」のことです。
沼正三は、この概念をもって、正当マゾヒズムの諸相(三者関係は除く)をすべて説明できるとまで言い切っています。

スクビズムの五類型は下記のとおりです。

第一類型 肉体的下位
 対象女性の体を自らの体で下から支持するという願望。
第二類型 肉体的下部
 足への執着。
第三類型 観念的下部A
 女性器や肛門への奉仕。
第四類型 観念的下部B
 分泌物、排泄物への執着。
第五類型 観念的下位
 人間と人間との関係としての下位、あるいは文化的・知能的に劣った存在への志向。



「変身願望」は、「成熟した社会人たる男性」が、「地位」、「年齢」、「男性」、「人間性」、「生命」といった属性を捨て去り、今とは違った存在になることを望む願望です。
いずれも、崇拝する女性よりも劣位でありたいという「下への衝動」の発露と言えますので、スクビズムの五類型のうち、第五類型「観念的下位」をさらに分類したものといえそうです。

(イ)セルヴェリズム(奴隷願望)地位の剥奪
(ロ)小児化倒錯年齢の剥奪
(ハ)変装(女性化)倒錯男性の剥奪
(ニ)畜化倒錯人間性の剥奪
(ホ)物化倒錯生命の剥奪



具体的な願望は、これらの各類型が組み合わさって発露することもあります。

例えば、「馬になって対象女性に乗られたい」という願望は、女体を下から支えるスクビズム第一類型と、畜化願望(変身願望の(ロ))が組み合わさったものです。

犬になりたい」という願望は、畜化願望に加え、「舐める動物」として、スクビズム第二類型(足を舐める)、第三類型(股間部を舐める)、第四類型(排泄物を舐める)と強く結びついています。

物化倒錯(変身願望の(ホ))の場合、スクビズム第一類型と結びつけば女体を支持する椅子や縁台、第四類型と結びつけば女体から分泌・排泄されたものを受ける痰壺や便器となります。足置きや絨毯となれば第一類型と第二類型、サドルとなれば第一類型と第三類型と結びついているということになりましょう。

人間ビデ願望」というものもあります。昨今ネット上では「寝室奴隷」とも表現されています。カップルが愛し合った後、上位男性の体液がたっぷりと注がれた女性器を舐めて清めるという、トリオリストにとって究極ともいうべき願望です。これはトリオリズムとスクビズム第三類型、第四類型が結びついたものです。

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