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マゾヒズム文学の世界

谷崎潤一郎・沼正三を中心にマゾヒズム文学の世界を紹介します。

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伝説のネット批評家:kagamiさんのマゾヒズム論

私がインターネットに初めて触れたのは、2002年ころだったと記憶しています。
その後今に至るまで、たくさんの、そして様々な尊敬すべきマゾ系の表現者に、刺激を受けてきました。
今回はその中でも、私が最も敬愛する表現者の一人で、多大な影響を受けた、kagamiさんをご紹介します。

とは言っても、ゼロ年代前半からインターネットを渉漁されていた方にとっては、記憶に残っている方かと思います。
2ちゃんねるにもkagamiさん専用のスレッドがあったくらいたくさんのファンとアンチを抱え、半ば神格化されていたネット批評家です。
kagamiさんは何度かサイトを変えています。

好き好きお兄ちゃんM!

ロリコンファル

ねこねこブログ

と推移しています。

「好き好きお兄ちゃんM!」と「ロリコンファル」は、PCゲームの批評をメインテーマとしながらも、まさしく森羅万象を語るサイトでした。
ゲーム、アニメ、映画、音楽、古今東西の文学、歴史、芸術、哲学、心理学、政治、経済、社会、科学…
あらゆるテーマについて、計り知れない大図書館のような知識を背景に、豊富な引用を用いながら論じていました。
しかしkagamiさんが当時のネット世界で神格化されていたのはそれだけが理由ではありません。
博学な方にありがちな、高みから冷静に論じる調子とは正反対の、強く、強く感情を込めた、狂気すら感じる空前絶後の独特な文章。
決して美文ではありませんが、人の生の感情を剥き出しにした圧倒的な力を持った文章が、人を引き付けてやまなかったからだと思います。

kagamiさんは性的にはマゾヒストを公言されていて、マゾヒズムに関する、とてもすぐれた評論を数多く書かれていらっしゃいました。
kagamiさんのマゾヒズムの中核となっていたのは、聖少女崇拝=ロリータ・マゾヒズムでした。
マゾヒズムとは「最も純粋なる期待状態」であり、「最も至高のものに己の意志で己の意志を委ねる究極の快感」であるとしたうえで、その「最も至高のもの」とは、「両性具有的/無性的」であって「プラトン的な完全」を体現した「偉大な子供たち」であるとします。
聖少女の奴隷となり聖少女に仕えることは、「真実に仕えること、善に仕えること、無垢に仕えること、そして何より、
美に仕えること」であり、それが「肉が穢れ魂が腐り果てた」「無力かつちっぽけな、塵芥の如き存在」である人間の生きる唯一の意味なのだと。
それによってのみ人間は「究極の、全身全霊を打ち震わす快感」「永遠の、究極の、至高の、快楽」に出会え、文明原理・男性原理の支配する「悪しき獄たる最低最悪の邪悪世界」から解放されて「人類史における新たなる高次到達」に至ることができると!

すばらしい。
これを読んで、「美尊醜卑」を根本哲学とする私自身のマゾヒズムと大いに通ずるものを感じて自分の分身を見つけたように感じ、またその心理をここまで明快に言葉で表している文章に初めて触れて、深い深い感銘を受けたのを覚えています。
外見の美醜と魂の清らかさ・穢さが一体であるという心身一元論にも通じるものを感じました。

kagamiさんはまた、白人種の少女の容姿を、「あらゆる美の頂点に君臨する至上究極至高の美」、「全てを超越する
永遠にして不滅の一瞬を齎す栄光の神聖美」「ひれ伏さずにはおれない神々しさ」として、白人崇拝マゾヒズムにも並々ならぬ情熱を示していらっしゃいました。

しかし私がkagamiさんの文章で最も敬服したのは、その谷崎潤一郎論です。
谷崎のマゾヒズム、白人崇拝、そして耽美主義(「美」至上主義)に対して、kagamiさんほど誠実に、常識や既存の解釈を排して原典に即して読み込み、自らの価値観やセクシャリティと照らし合わせる真のtext readingをされていた研究者は、文献上でもネット上でもいまだに見ることはできません。

kagamiさんはインターネット上のいわゆる「オタク」あるいは「サブカル」といわれる人達の間で有名になり、もてはやされたり、貶められたりしていたようですが、kagamiさんと、他のネット批評家と最も異なる点は、自分の博学を他者にひけらかすためには絶対に書かなかったし、心の底から理解できていないものに対して理解したふりを絶対にしなかったことですね。
kagamiさんの文章の中でkagamiさんの博学は、kagamiさんの強い感情の表現のためにのみ使われていました。
つまり、誰よりも誠実だったのです。

kagamiさんは2008年ごろからネット上でのトラブル、うつ病の悪化、生活の困窮をエントリーで訴えるようになり、HNを「ねこねこ」さんに変え、はてなダイアリーの「ロリコンファル」を閉じ、ライブドアブログの「ねこねこブログ」を開設されました。
うつ病との闘病の中でセクシャリティも変化したそうで、ねこねこブログではマゾヒズムを含めた性衝動に関することは書かれなくなり、メインコンテンツだった成人向けPCゲームの感想もなくなりました。
ねこねこブログでは扱うテーマや文体がそれまでとは大きく変化しましたが、内容のすばらしさは変わりませんでした。

現在もねこねこブログはたまに更新されていますが、ネット上でkagamiさんのことが語られることもほとんどなくなってしまったようです。
しかし、私がネット上で表現を始めるにあたり、kagamiさんから受けた多大な影響は、今も私の中に生き生きとして残っています。
再び現れることはないだろう、「知の巨人」とも言うべき偉大なネット批評家の存在を、伝説として記録と記憶にとどめたいと願っています。

現在閲覧できるお勧めの記事です。

バーチャルマゾヒズム概論
幼女ご主人さま論
マゾヒズム原論 -支配と服従の逆説-
男女と、生の寛容について -認識とマゾヒズムと美-
ロリサド娘の歓喜 -神聖なる所有物へ-
鉄床の歓び -泣きゲと放置プレイ-
美、少女、幸福 -わが聖支配者-
ゲーム評「May Queen」 -運命の少女-
少女連鎖 -女性の支配する社会へ-
少女連鎖 -絶対の女神-
少女連鎖 -品性と位階秩序-
夢幻廻廊 -The Queen of Hearts-
ゲーム評「夢幻廻廊」 -Brainwashing-
夢幻廻廊 -人間という現象-
幻想性的相談室 -超私立!女の子様学園セックスカウンセリング-

白人崇拝論
永遠のアルビニズム
私にとってのロシア――テルミンを聴きながら
「永遠の恋」(ツルゲーネフ「はつ恋」の秀逸すぎる二次創作です。)

谷崎論
エロゲーマーと谷崎潤一郎 -愛情から遠く離れて-
審美の誠実、日本人が汚物であることを認めること -陰翳礼讃-
小説のイメージ -最強のイメージ作家-
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コメント

こんにちわ,白乃勝利さん

良い記事を紹介させていただきありがとうございます。

感じられるテーマは本当に美しいが、
何か白乃勝利さんのブログを発見した時のぴったりな感じは入らないですね。
私が日本語をよく分からないこともあるが、ピントが少し違う感じがします。
やはり小学生以下のローリーはよく分からないです…
しかし、東洋人と西洋人の関係の叙述、「美尊醜卑」はとても美しいですね。

エロゲーはやっぱエッチのシーンが好き嫌いが激しいです。
聖体は簡単に、直接的に届かない。と私は思います。
そのうえ小説より表現力が不足した作品が多くて…
「エムサイズ」作品はとても楽しくプレーしますので次回作も待っているところです。

さすがに私は白乃勝利さんのテーマと文体がいいですね。
表現が適当に軽くもない、解釈に困難もない、美と醜の縮まらない距離感…
文章で感じられる、激しく染みる話者の哀絶の念が感動的です。

葉桜夏樹さんも、killhiguchiさんも、鳥尾さんも…その他数々の様々な2ch小説の偉人たち。
何か日本はうらやましいですね。
また、コメントします。

whiteさん

いつもコメントありがとうございます!
ほめてくださり、本当に励みになります。

谷崎や沼のような文章を目指しているというのはありますが、そればかりだと肩に力が入って書けなくなってしまうので、スラング混じりに話すように書けばいいんだよな、ということをkagamiさんは教えてくれましたね。

「聖体は簡単に、直接的に届かない」
というのは本当に共感しますね。
触れたいのだけれども、穢らわしい自分の肉体と聖体を触れさせることが畏れ多い…
ここに、スクビズム的接触(足と頭、股と顔etc)が生じるのだと思います。

偉大な2ch小説は、近々取り上げたいと思っています。

そうですね

伝達力は重要だと思います。

必要なく難解な表現はあんまり複雑で理解と解釈を邪魔して、
共感が悪くて、意味がわからない…
むしろ作品の価値を下げる逆効果を発生させますね。

レベルの高い表現を使用しなくても、
自分が思っていることをそのまま読者に完全に伝達しさえすれば、
それこそ基本だと思います。


それはそうと、「父の車で」はずっと読むようになりますね。
見ても見ても飽きないです。

ありがとうございます。
そういっていただけると、はげみになります。

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